「サンクジャパン」が不動産と飲食店をやる理由。
戸田市のライターさんから取材を受けました。
縁あって、戸田市を中心に活動するライター・南原卓也さんから取材を受けました。
「建物の内装と外装の仕上げ工事をすべて施工する会社」としてスタートした「サンクジャパン」が、設計やデザインまで行うようになった経緯や、社名の意味などは前編で紹介しています。
後編では、不動産や飲食店事業を始めた理由や、まちづくりについて、代表の清水がお話しています。
ワクワクしていたコロナ禍。何百年に一度のパラダイムシフトの瞬間を逃したくない!
南原さん(以下、南):設計ができて、デザインができて、工事もできる。そして、不動産も扱っていますよね?
清水(以下、清):コロナがなければ、物件を所有しようとは考えていなかったでしょうね。
コロナ禍で中国からモノ(資材)が入ってこない時期があって、モノがないと売り上げがつくれない、工事一本の状況に怖さを感じたんです。
そこで、工事ができなくても売り上げをつくれる事業を、2〜3つ持っていたいと考えました。
南:それが不動産事業だったんですね!
清:「宅地建物取引士」の資格を持つ社員がいたので、さっそく不動産業者として登録を行い、戸田市内に4〜5つ物件を購入しました。
南:いきなり4〜5件!? すごい!
清:一般的な不動産屋さんは、「古い物件」に触れたがりません。
でも、うちは「古いもの」好きな社員が集まっていて、耐震のこと、雨漏れのこと、給排水のこと、仕上げのことを熟知しています。そして、これまでにデザインと建築をやってきた基礎があります。だからこそ、古い物件に手が出せる。
古い物件を手に入れて、手を加えて、人に貸すことが「家賃収入」を得るビジネスになりますよね。古い物件が好きな方は意外と多いですよ。
「古い=汚い」ではなく、古くても手入れが行き届いている、お寺や教会のようなイメージです。
清:ちなみに、設計事務所も原価のかからない事業です。知識労働ですから、依頼を受けて、打ち合わせをして、設計して、現場監理をすることで売り上げがつくれます。
南:先が見えない状況で新事業に二の足を踏む企業も多かった中、その決断力と行動力は強いですね!
清:新しい分野に手を出していなかったらヤバかったと思います(笑)
この言葉が正しいかどうかは別にして、コロナ禍になってからずっとワクワクしていたんですよ。当時100日間、毎朝、講師を務める「参九塾(経営戦略を学ぶ勉強会)」の受講生や社員に、そのときの考えや気持ちをコラムにして送っていました。
このワクワクの正体はなんだろうなって考えたとき、世の中の全員が「ゼロスタート」だってことに辿り着きました。
お金持ちも土地持ちも、素人もプロも、歴史のある会社も新しい会社も、経験したことのない世界に飛び込んでいく感覚にワクワクしていたんです。
これは「今動いたもん勝ちじゃん!」みたいな(笑)
南:その気持ち、わかります! 私もコロナ禍でフリーランスになったので(笑)
清:これまでのやり方では絶対に上手くいかないし、何百年に一度のパラダイムシフトの瞬間を逃したくないって気持ちが強かったですね。
本業を通じて、まちづくりをする
南:話は戻りますが、古い建物のもつ個性を活かしつつ、魅力のあるデザインと用途で生まれ変わるって、町や環境にも優しい感じがしますね。解体して新築するよりもコストもかからないし、ゴミも出ない。
清:「古い建物を壊して売る」以外の選択肢を提案できますね。そして、戸田市内で使い道のなくなった古い物件をお持ちの方から、「何とかならんか?」と相談が来るようにしていきます。
清:デザインを入れることで、古くなった建物の魅力が増すことがあります。
例えば、ここ(戸田オフィス)の鉄骨の梁を見てください。自動車整備工場だった当時は、もしかしたら、この錆を見て「汚い」と感じた方がいるかもしれません。
しかし、デザインを加えることで、少なくとも「汚い」と感じる方はいないと思います。
清:床も、自動車整備工場だった頃のままです。
物件を取得した当時は油汚れがすごかったけど、何度も水洗いして、ブラシでこすって汚れを取り除けば、残った塗料や傷は、建物の歴史となり味になります。
それこそ、新しいモノをあえて古く見せる「エイジング」という技術もあるのですが、古い建物を活用すれば、その必要もありません。
南:まちづくりに、古い建物を生かす事例もありますもんね。
清:「サンクジャパン」では、本業を通じてまちづくりをやりたいと考えています。「本業を頑張っていたら、結果、それがまちづくりになっていた」というのが大事だと思っています。
世の中のまちづくりが上手くいかない理由のひとつは、本業でやっている方が少ないからだと思っているんですよね
南:ボランティアも大切です。私も積極的に参加します。ただ、それだけだと継続できない問題はありますね。
清:そうなんです! ちゃんと利益を得た上で続けられるまちづくりこそが本質だと思っています。
いい街には、いい酒場があって、いいカフェがあって、いいバーがあって、いい雑貨屋があって、いい美容院がある。まちづくりにはいいお店が必要なんです!
「サンクジャパン」が店舗に力を入れるのも、その方がまちづくりに近いからです。
「サンダルの距離感」で楽しめるお店や場所を増やしたい
南:「本業を通じたまちづくり」の一環が、飲食業への進出ですか?
清:はい。とはいっても、直営店を増やしたいとかではないですよ。
南:戸田市内で、いいお店を多店舗展開するわけではないと?
清水:そうです。戸田市のお困りごととして、戸田にはいい飲食店がまだまだ足りないと思うんですよ。
電車に乗って、お洒落をして楽しむのもひとつだけど、サンダルで行ける距離感で「今日はあそこに行こう」「次はあのお店に行ってみよう」と楽しめるようにならないと、その街の繁栄はありえないと思っています。
南:サンダルで行ける距離感ですか?
清:南原さんはいつもサンダルでしたね(笑)
この「サンダルの距離感」は、コロナ禍でマインドチェンジした後のひとつの答えだと思っています。
戸田市に、サンダルで気軽に行けるような面白いお店や場所が増えたらワクワクしませんか?
もちろん、ネクタイを締めて行くお洒落なお店もあっていいんですが、要は選択肢が増えたらいいなと。
清:そんなお店を増やすために、「シタゴヤ」を2023年8月にオープンします。
「シタゴヤ」は、本気で独立を目指す料理人のためのシェアキッチン型飲食店です。
独立を目指す料理人さんが、曜日変わりで「シタゴヤ」に立ち、経験と自信を積み上げ、常連のお客様をつくり、独立に向けた準備をする場です。
南:お店で修業するのとは、また違った価値がありそうですね。
清:飲食店は、開業から1年以内に40%が廃業します。10年間だと90%廃業ですよ?
経営力不足、戦略不足、知識不足で、オープンする前から廃業が決まっている様な状態でオープンするお店がそれだけ多いということです。
「シタゴヤ」に入る料理人さんには、2時間の講座を全5回、無料で提供します。一番大切な経営戦略を学び、経営計画から事業計画の立て方、お金の借り方もセットで勉強してもらいます。
「シタゴヤ」で経営を学んだ方が独立して、「サンクジャパン」が設計・デザインしたお店で、料理も、雰囲気も、経営的にも優れたお店になる。そんなお店が戸田市内に増えていくと考えると、すごくワクワクするんですよ!
南:それは、戸田市にとっても最高の未来ですね!
「シタゴヤ」2023年8月オープン予定!
「サンクジャパン」では、戸田市内に魅力的な飲食店が増えるようにするためのお店「シタゴヤ」を2023年8月にオープン予定です。
「シタゴヤ」という名前は、大工などの職人さんが、準備、下ごしらえをする場所「下小屋」からとりました。
詳細は、また改めてお届けいたします。
Comments